反転を解除いたしました。
この記事は、一度、読んだだけの私が現時点での感想をつらつらと書いているものです。以前のシリーズは現在、手元に無い場所(……研究室wwww)でこれを書いておりますので、以前のシリーズについて触れている部分は不正確です。また、当然、内容についてはモロに触れまくりですので、ご注意ください。
記事、ここから。
さて、涼宮ハルヒシリーズ第9作目の「涼宮ハルヒの分裂」を読みました。アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の大ヒット後、初めての新刊ということで、作者の方のプレッシャーも、ものすごいものがあったと想像できます。そのため、前半での佐々木の正体をかなり後になるまで明かさなかったりだとか、意欲的であったのか、実験的であったのかが不明の後半部のαルート、βルートの2本立てという手法をとってみた、とらざるを得なかったという訳でしょうか。こういう、妙なテクニックに走らずに、書きたいものをきちんと書けばと思うのですが。別にテクニックに走らなくても、面白いものは、この作者は書けると思うのですが。や、もちろん、この「分裂」は次の「驚愕」との上下巻セットですので、下巻に相当する「驚愕」でどう風呂敷を畳むのかを見てみないことには、評価できないというのが正しい意見だと思います。しかし、何を意図として何を表そうとして、αルート、βルートの2本立てのストーリーにしたのかが、この巻を読んだだけでは理解できませんでした。
さて、カラー口絵の3枚目。『俺は最初、何がそこにあるのか解らなかった。「何もんだ、お前」』とありましたが、こっちの方こそ「お前ら何もんだ」と言いたくなるような3人がいきなり登場。裏表紙のあらすじと、ザ・スニーカーの先行掲載分から想像するに、佐々木と誘拐少女と誰かなんだろうなと。
ザ・スニーカーで読んだときには、やたらと読みにくかった印象があったのだけれど、文庫の段組みになると読みにくい印象が消えていたのは、不思議な気分。で、やはりというか当然というか、佐々木が国木田曰くの「キョンは昔っから、変な女が好きだからねぇ」、中河曰くの「お前は、あの変な女とつきあっていたのではないか?」の「変な女」だったわけで。多少、ひっぱり過ぎの感もあった。一切の外見描写がなかったのであるから、まぁ、当然かと。しかし、言われる程、佐々木さん、変な女か?中学時代、国木田や中河が「好き」「つきあっていた」と誤解するのもまあ、仕方がないような関係だったことは、作中で明かされていたが、少々、持ってまわった言い方をするくらいで、また、一人称が「僕」なくらいで、全然、普通の女子じゃないか、佐々木さんは。また、女子の中では普通の喋り方だったらしいから……そこが、変なのか???で、イラストを見て、ごくごく、普通の女の子だったことにさらに驚いた。だから、余計な世話なのであるが、この北口駅前のシーンをアニメ化するときには、大変だろうなと思った。完全にキョン視点でのキョン語りでしかできんなと。多分、このときも佐々木さんは、ごく普通の女の子らしい服装をしていたと想像できるので。
で、佐々木さんの周囲に集まる宇宙人、未来人、超能力者の面々。周防九曜、藤原、そして橘京子。当然、本作中で明かされてはいたが、当然、佐々木さんはハルヒの役回りと同等なわけなのは容易に想像がついた。しかし、ここで問題なのは、SOS団にいて佐々木さん一派にはいないものがある。それは、キョン(もしくは、キョンと同等の立場の一般人)。まあ、現時点では佐々木さんが何考えているのかは、想像すらできないが、キョンを欲しているのか。キョンを好いているのか。ということで、これはじつはキョンの争奪戦になるのかとも思ったりしないでもなくはないわけで。
で、「分裂」というタイトルから考えるに、涼宮ハルヒの能力が分裂したのかと思えなくもないわけで。
さて、後半のαルートでは、佐々木さん一派との第二次接触もないまま、平穏な日常が繰り広げられる訳ですが、入団希望者が10数名も集まるという異常事態に。その中に、恐らくキョンに電話をかけてきたと推察できる新一年女子もいるわけですが。彼女は、いったい何者なんでしょうか。まだ、登場していない異世界人なのでしょうか。α、βの2つのルートに分裂してしまったのは、彼女の仕業なのでしょうか。また、椅子がいきなり一つ、足りなくなっていたことから、彼女がたぶん、突然、現れたんでしょうなぁ。
βルートでは、佐々木さん一派との第二次接触がなされ、そして、橘京子により、佐々木さん製閉鎖空間へ案内されるキョン。そして、涼宮ハルヒの能力を佐々木さんに譲渡するように求められるわけで。懸命にハルヒの擁護をするキョンが、なんか、かわいいというか、なんというか…。で、翌、月曜日。長門が発熱のため学校を休むという異常事態に雪山症候群のときのような「天蓋領域」からの侵攻が開始されたことをキョンと古泉が知り、SOS団全員で、長門のマンションへ向かおうとする。ここで終了。これは、何なのでしょうか。このα、βルートのどちらかが、雪山症候群の際に言われていたように、コピーなのでしょうか。本来のルートはαなのだけれども、βルートというコピーが作成され、いわばシミュレーションのようなことが、「天蓋領域」からの再侵攻が行われた際のシミュレーションが、行われているのでしょうか。
「分裂」というタイトルからすると、日常生活が「分裂」させられたという意味なのでしょうか。
果たしてタイトル「分裂」の意味するところは、いったい、何なのでしょうか。「驚愕」で明らかにされてくれないと困るなぁ…。
さて、小ネタ。
正直、春休み最終日以降の閉鎖空間、神人の現れ方の描写、「神人が手持ちぶさたに立っているだけ」という描写を読んだときには、「ハルヒ、かわいいなぁ」と思いました。小説版のハルヒが、ここまでかわいい描写がされていたことがあったでしょうか。というか、こんなハルヒの内面が小説で描かれたことが、あったかなぁと思いました。中河のラブレターを誤解した際には、笑い顔を貼り付かせたまま、キョンに暴行(?)を加えるということもありましたし、雪山症候群では長門とキョンの仲を誤解したハルヒは、おそるおそるキョンに尋ねてたし……あ、ここは、かわいいと思うな。うん、この雪山症候群のときと同じだな。うん。納得。
周防九曜を見ると、確かに、長門ですらまともに創ってあるというように思えますな。確かに。光陽園女子という学校も、周防九曜みたいなのを置いておけるなんて、懐の深い学校だなぁと思いました。
次巻、「涼宮ハルヒの驚愕」6月1日発売だそうです。
追記
さて、αルートに出てくる謎の新入生って、ミヨキチじゃねーのか。や、根拠はない。ただ、見たことがあると、ずうっとキョンが言い続けているので。それだけ。そうすると、αルートがなんらかの改変を受けた世界ということで。それが平行して存在しているのか????わからん。